ラッパ水仙 (Daffodils)

春を呼んでくれる花、Daffodilの季節がやってきました

イギリスでは2月になるとスーパーでラッパ水仙(Daffodil)が売られ始めます。普段あまり

切り花を買わないのですが、この花だけはどうしても買ってしまいます。通常スーパーでは

1ポンドぐらいで購入でき、部屋の中に飾っておくと、2-3日であっという間に鮮やかな

黄色で花を咲かせてくれます。イギリスの暗くて寒い冬から「もうすぐ春がくるよ!」と

告げてくれているようでとても元気を与えてくれるのです。もちろんイギリス人たちもみんな

この時期になると切り花を買ったり、球根を庭に植えています。

イギリスの有名な詩人、ウィリアム・ワーズワースが妹と湖のほとりを散歩していた時、

一面に咲いていた水仙の美しさに感動し「The Daffodils」という有名な詩が書かれたそうです。

I wandered lonely as a cloud

That floats on high o'er vales and hills,

When all at once I saw a crowd,

A host of golden daffodils:

Beside the lake, beneath the trees,

Fluttering and dancing in the breeze.

Continuous as the stars that shine

And twinkle on the milky way,

They stretched in never-ending line

Along the margin of a bay:

Ten thousand saw I at a glance,

Tossing their heads in sprightly dance.

The waves beside them danced, but they

Outdid the sparkling waves in glee:

A poet could not but be gay

In such a jocund company;

I gazed - and gazed - but little thought

What wealth the show to me had brought.

For oft, when on my couch I lie

In vacant or in pensive mood,

They flash upon that inward eye

Which is the bliss of solitude;

And then my heart with pleasure fills,

And dances with the daffodils.


日本語訳はコチラを参考にして下さい。

「水仙」ウィリアム・ワーズワース(平井正穂訳)より

谷を越え山を越えて空高く流れてゆく

白い一片の雲のように、私は独り悄然としてさまよっていた。

すると、全く突如として、眼の前に花の群が、

黄金色に輝く夥(おびただ)しい水仙の花の群が、現れた。

湖の岸辺に沿い、樹々の緑に蠅、

そよ風に吹かれながら、ゆらゆらと揺れ動き、踊っていたのだ。

夜空にかかる天の川に浮かぶ燦(きら)めく星の群のように、水仙の花はきれめなく、

入江を縁どるかのように、はてもなく、

蜿蜒(えんえん)と一本の線となって続いていた。

一目見ただけなのに、ゆうに一万本はあったと思う、

それが皆顔をあげ、嬉々として踊っていたのだ。

入江の小波(さざなみ)もそれに応じて踊ってはいたが、さすがの燦めく小波でも、

陽気さにかけては水仙には及ばなかった。かくも歓喜に溢れた友達に迎えられては、

苟(いやしく)も詩人たるもの、陽気にならざるをえなかったのだ!

私は見た、眸(ひとみ)をこらして見た、だがこの情景がどれほど豊かな恩恵を自分に

もたらしたかは、その時には気づかなかった。というのは、その後、空しい思い、

寂しい思いに襲われて、私が長椅子に愁然として身を横たえているとき、

孤独の祝福であるわが内なる眼には、しばしば、突然この時の情景が鮮やかに蘇るからだ。

そして私の心はただひたすら歓喜にうち慄(ふる)え、水仙の群れと一緒になって踊りだすからだ。


まずは家の中でラッパ水仙を楽しみ、3月からはイギリスのあちこちで咲く、

ワーズワースが感動した水仙たちを皆さんも楽しみませんか?


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